そ こ ら じ ゅ う 奇 跡 が き ら き ら 瞬 い て



最後の夜を覚えている。
三年前の1月だった。海馬が城之内と暮らしたマンションをようやく後にした、その三日後だった。職場から電話を掛けてきた城之内が珍しく海馬を誘ったのだ。時間があったら夕食を食べに行かないか、と少しばかり弾んだ声が電話口からこぼれた瞬間、海馬はそのまま城之内を攫いに行こうかと思った。城之内がこんな声をどんな顔で発しているのか海馬は知っていた。無駄に性能のいい携帯の集音装置は、城之内がひとりではないことを明確に伝えている。一緒に暮らしていた二年間、海馬はとてつもなく幸福だったのだと思い知った。海馬に語りかける城之内は海馬だけのものだった。城之内がそこにいてもいなくても、海馬の城之内は海馬だけのものだった。それが今こんなに遠い。ぎしり、と薄い携帯が軋むほど握り締めて、それでも海馬はつとめて平静な声で『どうにかしよう』と返した。幸いなことに、今日は海馬の都合でどうにもならない用件はなかった。

それじゃ8時に駅前で、と弾んだ声のまま電話を切った城之内を思いながら緩く溜息を吐く。城之内が出て行ってから二週間が経っていた。その間一度も会わなかったというのに、何もなかった二週間よりも声を交わした3分のほうがよほど空しかった。いっそ理性などないほうが良かった、と海馬は思う。海馬にも城之内にも。あのままでいられないことはなかったはずなのに。あのままずっと、同じ二年間を繰り返していけたらそれだけで良かったのに。けれどもそれは海馬の都合だった。うんざりするほど分かりきっていた。

海馬が20時ちょうどに車を降りると、明るく切り取られた街灯の下で城之内は軽く手を振った。白い息を吐く城之内は、明るいグレーのショートコートに黒いマフラーを巻いている。ついこの間までは流れるに任せていた、伸びすぎた城之内の髪の端は、無造作に輪ゴムで括られてマフラーの中に埋もれている。数十メートルの距離は、双方から縮めるとあっという間だった。顔を合わせた城之内は、緩く笑って言った。

「なんか、久しぶり。顔見ないのって変な感じだな」
「そうか」
「うん。あ、今までありがとな」
「ああ。就職おめでとう」
「ありがとう」

少しばかり誇らしげな、赤みの差す城之内の頬を見下ろしながら、海馬は改めてこれが好きだと思った。こんな風に笑う城之内が好きだった。海馬に属さない城之内が好きだった。海馬のマンションに住んで、海馬の買った服を着て、海馬の舌で喘いで尚、海馬に染まらない城之内が好きだった。海馬の感情ははっきりとそう告げているというのに、それでも城之内が欲しいと思う海馬の理性が問題だった。今目の前にいるだけで良いと、本当にそう思っているのに、それだけではすまない海馬を海馬自身ではどうしようもなかった。沈黙が続きすぎていた。人気の多いこの場所でいつまでも見詰め合っているわけには行かなかった。そうしたことを気にするのはいつだって海馬の方だった。きっとこの場で手を引いても、抱きしめても、いっそ口付けたところで城之内は顔色一つ変えはしないだろう。その事実が耐え難いほど海馬を苛んでいた。望んでいるわけではないのに。城之内は海馬を拒むことすらしてはくれない。

「どこへ行く?就職祝いに奢ってやろう」
「いいんだ、俺が払いたい」
「祝いは素直に受け取るものだぞ」
「うん、でも今日だけは俺がしたいんだよ」

ほとんど海馬の言葉に首を振らない城之内が言い募る姿が珍しくて、海馬はそれ以上言葉を重ねなかった。お前が好むような高級な店じゃないんだけどな、と言い置いてから城之内が海馬を伴って訪れたのは、路地裏に佇む小さな店だった。和風ダイニングカフェ、と銘打たれている。どういう種別の店なのか海馬にはよくわからなかった。引き戸を開けて中へ滑り込もうとしている城之内を捕まえて、「何を食べる店なんだ」と訪ねると、城之内は軽く海馬を振り返って、「さあ?」と首を傾げた。

「俺もはじめて来たから良くわかんねえ」
「よくそれで人を連れてきたな…?」
「だってお前と入ってみたかったから」

ひとりじゃなくて、誰かとじゃなくて、お前と。当たり前のような顔で城之内は言った。城之内は毎日仕事帰りに店の前を通るのだという。白い息を吐きながら、戸口に燈されたランプの光と磨きこまれた窓枠を覗いて、ここには海馬と来るべきだと思ったのだと。ただあるがままに事実を述べる、城之内特有の口調だった。

「入ろうぜ?」

城之内は何を返すことも出来なかった海馬の手を引いて、橙色に染められた板張りの床を踏んでカウンターに腰を下ろした。何を食べたのかよくわからなかった。味も名前も記憶しているが、それはあまりにも現実味のない時間だった。城之内は少しだけアルコールを摂取して嬉しそうにしていた。まだ18の癖に、と19の海馬が思うことでもなかった。

いつもよりずっと寛いだ表情だった食事の後で、城之内は「やっぱりいい店だった」と満足そうに呟いた。21時過ぎの空気は緩やかに張り詰めていて、アスファルトからはかすかな冷気が伝わっている。これからどうしよう、と城之内は言わなかった。海馬も尋ねなかった。けれどもふたりとも当然のような顔で、最初に見つけたホテルに滑り込んだ。ビジネスホテルに少しだけ俗っぽさを加えたような無味乾燥した部屋でゆっくりと服を脱いでSEXをした。道具も暴力もないSEXはとても久しぶりだった。それは丁寧な性交だった。行為の後、ほとんど乱れることもなかったシーツの上で海馬は城之内の髪を梳くように撫でた。ふたつ重ねた枕を抱え込むようにうつ伏せた城之内の顔は見えないけれど、ゆるく上下する背中はすっかり解けていた。しばらくして顔を上げた城之内は、軽く首を上げて海馬を仰いだ。

「なあ海馬」
「なんだ」
「俺今度お前の家に遊びに行っていいかな」
「急にどうした」
「うーん。いや、ダメだったらいいんだけど」
「駄目だとはいっていない、理由を聞いただけだ」
「ちょっと、挨拶しときたいかなあって」
「何に」
「モクバに」

何の?とは聞けなかった。尋ねればきっと城之内は答えるだろう。けれどもきっとその答えが海馬にはまるで理解できないのだ。海馬は一拍置いて、もっと別のことを尋ねてみようかとも考えた。最初に聞けなかった、あの屋上で、一体城之内は海馬の何を許してくれたのかを。もしかしたらそれは海馬の望むことなのかもしれなかった。海馬はずっとそれを繰り返していた。いいよ、と笑った城之内の顔。緩やかに頬を撫でた城之内の指。海馬を拒まない城之内。それでもそれはどうしてもできなかった。くだらない自尊心だった。自衛心でもあった。傍若無人な振りをして、いつだって薄氷の上を渡るような気分だった。海馬が城之内を構築する前に、城之内が海馬を構築していた。海馬の全てが城之内でできていた。城之内の言葉は、海馬が思う以上に海馬に影響を与えることを知っていた。あんなに考えた。決心した。もう何も、城之内に求めてはいけなかった。だから海馬は穏やかに告げる。

「好きにしたらいい」
「そうか?じゃあ、今度の週末、お前暇?」
「わからんが、モクバの予定は調整しておく」
「そか。よろしくな。ありがとな。じゃあ週末な」

珍しいことは重なるものだった。城之内からの初めての約束だった。果てしない幸福感とともに、海馬はそれでは来週の金曜日が最後だと区切りをつけた。それ以上何を言う気にもならなかった海馬は、黙って城之内を抱きしめた。そして城之内の薄くて細い身体と、筋張った腕と、硬い背骨と、白くも柔らかくもない掌と、金色の髪と、緩く開いた唇と、それから蜂蜜色の瞳を全てなぞった。それはとても丁寧で慎重でまるで性的ではない接触だったので、城之内は却って気まずそうに、それでも海馬の青い眼を見上げていた。一生覚えていようと海馬は思った。同時に、もう二度と触れることは叶わないだろうとも。そしてそれが海馬の意思で齎されることに耐え難い苦痛と、それから安堵を覚えた。

あとは何も語るようなことがない。

翌週の金曜日、海馬の世界は一度終わった。夜逃げのような海馬の失踪は、しかしそれほど大事にはならなかった。海馬の意思であることが明確だったからだ。一週間足らずの引継ぎは強引で、モクバにも役員にもひどく窘められて諌められた。けれども海馬の意志はそれ以上に強固で、そして何よりとてつもなく追い詰められていた。こんなことに何の意味があるのかを考えた。そして意味などないことが海馬には却って心地よかった。それ以上の選択肢が海馬の中にはなかった。だからそれ以外を選ぶことは出来なかった。城之内がいないのなら他の何も要らなかった。
だって愛していた。
海馬の全てはそれだけで終わってしまってよかった。












海馬が城之内から身体を放す頃には、沈みかけた夕日が落ち切るどころか新しい日が昇りそうになっていた。最後は小振りのソファから完全にずり落ちた城之内を上に乗せて喘がせた。どれだけ注いでも屈することのない城之内が愛しかった。海馬の胸に肘を突いた城之内の中にはまだ海馬がいた。抜け、とも抜くなとも言われなかったのでそのままにしておいた。明日を飛び越えて明後日までだってこうしていたかった。久々の城之内との性交でさすがに消耗した海馬の上で、同じく疲労を滲ませる城之内は、それでもけだるそうに口を開いた。

「本当に知らなかったのか」
「知らなかった」

城之内が海馬をすきだということを海馬は本当に知らなかった。もちろん好意があったことはわかっている。しかしそれが、海馬の望む形であることは最後まで確かめることも出来なかった。明瞭な海馬の答えに、城之内は肩を落としたように見えた。城之内が気にすることではなかった。全ては海馬の責任だった。何もかも。けれども城之内は眉を落とした情けなさそうな顔で海馬を見つめた。

「なあ、俺ってそんなに信用ない?誘われたらほいほい寝るような人間に見えたのか」
「そういうことじゃない」
「金があるからお前を好きだと思ってたか」
「俺には金しかないのに、お前は金に執着しないからー俺なんていつだって放りだせるんだろうと思っていた。俺じゃなくてもいいんだろうとは思っていた」
「金があってもなくてもお前がいいとは思わなかったか?」
「思わなかった。お前は言わなかっただろう、一度も」
「言わせようとしたことがあったか」

城之内は海馬の綻びを的確に付いた。反論の余地もなかった。海馬の中には城之内を納得させられるだけの理由が何もなかった。薄暗い部屋の中で城之内の金髪が鈍く煌いている。下がった眉はまだ元に戻らない。城之内は言葉を続ける。

「貴様が好きだ、愛してる、俺のものになれ、ここにいろ、悪いようにはしない、ずっと愛してる。お前が言ったのはそれだけ。俺のことは一度も聞かなかっただろう。一方的なんだよお前」
「俺は俺に自信がなかった」
「俺だってないよ。すげえ嬉しかったけど、俺がそれでどれだけ不安だったかも知らないんだなあ」
「え、」
「俺がお前をどう思っていてもいいんだろうと、俺は思ったよ。お前が、俺を好きだから一緒にいるんだろうって。俺のことはどうでもいいんだろうと思ったよ」

海馬には何もいえなかった。その通りだった。城之内は海馬が思うよりずっと海馬を知っているようだった。愛されていなくても手放すことなど出来なかった。約束も束縛もなかった。そんなもので繋ぎとめた気にはなれなかった。「それでもお前が俺を愛してるのを俺は知ってた」と城之内は言った。そうして、それがまるで救いにはならなかったことも。

「だって結局嘘だし」
「嘘はついていない」
「ずっと愛してるって言ったのに一緒にいてくれなかっただろ」
「でも愛してる」

今でも。愛しているから一緒にいられなかった。理解されなくても明確に答えられる。一緒にいたら、海馬は城之内を城之内のままで愛し続けることが出来なかった。だから逃げ出したのだ。海馬のものになった城之内なんて欲しくなかった。欲しいと、思わないのに手に入れようとする海馬が恐かった。愛しているから。全部聞いてから「そんなの欲しくなかった」と城之内は言った。不謹慎だと思った。その言葉に耐えようもない幸福を感じた海馬自身を。

「……最後に会った日のこと、覚えてるか」
「ああ」

覚えているどころかちょうど思い出していたところだ、とは口に出さず、短く海馬は答えた。「あの時俺はすげえ浮かれてた」と城之内は言う。ああそうだ、確かに少し浮ついていた。就職が嬉しかったんだろうと思っていた。自立を好んだ城之内のことだから。けれども、海馬がそう告げると、「そうだけど少し違う」と城之内は首を振った。蜂蜜色の瞳が優しく揺れていた。

「俺はお前と対等になれることが嬉しかったんだよ」

お前とは随分違うけれどこれでやっとお前と同じ場所に立てるって。それで、あの時約束しただろう。次の週にモクバに会いに行くって。何しにってお前は聞かなかったけど、俺はモクバにお前とのことを正式に認めてもらいに行ったんだ。ああ、モクバには会ったよ。お前がいなくなったって聞かされてそれどころじゃなくなったけどな。お前が、あと一週間でも待っててくれたら、この三年間はなかったかもしれないな。淡々と城之内は語った。全て仮定論だった。それでも海馬はとてつもなく後悔した。

「そのときモクバに言われた」
「何を?」
「俺がお前を好きだって知らないんだよって」
「…え?」

モクバとは三年間、一切城之内の話をしなかった。当たり前だった。海馬はモクバに理由を語りはしなかったが、モクバは知っていた。聡い子供だった。もう子供ではなかった。モクバの三年間も、海馬は知らなかった。誰より近い存在だったのに。そんなことまで背負わせていたことを海馬は知らなかった。「驚いたか」と城之内は言った。海馬は頷いた。城之内は顔を歪めて、「モクバは俺がお前を好きだって知ってたんだよ」と言った。そうして、モクバが知っていることも城之内は知っていたのだと言った。海馬だけが知らなかったのだと言った。海馬が知らないことは知らなかったのだと言った。何を言っていいかわからなくて、海馬は城之内の背に回していた腕に力を込めた。愛している。それしか言えなかった。そうして、ようやく一番言いたかったことを口にした。

「愛している」
「うん」
「貴様はどうなんだ」
「…三年ーーいや最初からだから、六年だな。六年分言ってやる」

海馬の顔の横に手を付いた城之内は、ゆっくりと身体を持ち上げて海馬をまっすぐに見下ろした。金髪が金色の帳のように海馬の頬を撫でた。城之内の赤い舌が薄い唇を一度舐めて、それから開いた。

「好きだ、海馬。愛してる。親父のことも、借金のことも、俺のことも全部含めて感謝してる。俺を最初に引き上げたのは別の奴だけど、ここに留まらせてくれたのは海馬だ。お前がいなかったら、俺も親父みたいに酒浸りの借金まみれだったかもしれない。俺はそれがずっと恐かった。でももう何も恐くない。だってお前がいる。俺にはお前が要る。一緒にいたい。愛してる。愛してる」

最後の愛してる、は海馬の口の中で聞こえた。触れるだけの口付けだった。この上もなく優しい、海馬が思う『赦された』行為だった。城之内の言葉が海馬を震わせていた。まだ終わりではなかった。

「お前がいなくても、生きていける。でももう嫌だ。本当は三年前、お前がいなくなったって聞いた瞬間に全部捨てて探しに来たかった。お前が全部捨てたみたいに。だけどそれじゃあ、お前と一緒にいられない。だから働いて借金返して、モクバが回してくれるバイトして貯金もして、退院した親父と母さんを再婚させて、静香を大学に入れてーそこまで、したから。モクバ問い詰めてここにきた。三年かかったけどもう大丈夫だ。お前がいなくても生きていける。だけどお前がいないと嫌だ。だからずっと一緒にいてほしい」

城之内の言葉は滑らかで誠実で穏やかだった。海馬の知らない三年間で城之内が身につけたものだろうか、と海馬は思った。海馬が知らないだけど本当は最初からずっとそうだったのだと思うとどうしようもなく胸が妬けた。城之内が一息ついたところで、海馬は嘆息して口を開いた。

「…プロポーズのようだった」
「いい勘してるな」
「何がだ」
「指」
「指?」
「左手。出して」

城之内に乞われるまま左手を差し出すと、海馬はソファに散らばった衣服の、ジーンズの右ポケットから何かを取り出して海馬の指に嵌めた。左手の薬指だった。銀色の指輪だった。プラチナだった。唖然とした海馬の眼に、得意げな顔の城之内が映った。

「3ヶ月分だぜ、マジで。」
「…サイズなんて、よく知っていたな」
「俺が何度突っ込まれたと思ってんだ」
「薬指は入れたか?」
「散々入ってました、よく上の口に」

ようやく搾り出した海馬の声は、城之内の笑い声で遮られた。海馬の上で、とてつもなく楽しそうだった。笑って上気した城之内の顔を見上げながら、こんなことを言う人間だっただろうかと海馬は思う。違和感はなかった。ようやく笑いを止めた城之内は、「それでお前の返事は?」と軽く言った。どう答えていいか分からなかった。だってようやく寮思いになったところなのだ。海馬の中では。城之内が目の前でよかった海馬は、幸せが飽和しそうだった。

「俺が三か月分の給料で返そうとすると、ものすごく趣味の悪いものが出来上がりそうなんだが」
「お前はいいんだよ、俺にこれ嵌めてくれれば」

海馬が遠まわしのYESと苦情を告げると、城之内はさらりと海馬をいなしてもう一度ソファのジーンズの左ポケットから何かを取り出して海馬の左手に乗せた。銀色の指輪だった。プラチナだった。今度こそ本当に言葉をなくした海馬の上で、城之内は身体を丸めて笑っている。まだ繋がったままの海馬に伝わる振動がリアルだった。

「ははは!ペアリング。恥ずかしいか?恥ずかしいだろ」
「…そんなキャラだったか」
「そうだよ。お前が知らないだけだ」

目尻の涙を拭いながら城之内は言った。確かに城之内だった。とてつもなく男らしかった。差し出された左手を取って、薬指に細いリングを通した。白くも柔らかくもない城之内の掌は海馬より一回り小さいのに、節の目立つ指の長さと太さは海馬と変わらなかった。海馬は左手で城之内の左手を握り締めた。同じ場所に同じリングが光っていた。三ヵ月分。城之内の三ヵ月分。

「どうしようか」
「何が?」
「惚れ直しそうだ」

城之内のいない三年間がもうとてつもなく遠かった。どこまでも城之内が愛しかった。城之内もそうだと言う。海馬を愛しているという。約束を、言葉で、行為で、形として、与えてくれるのだという。これ以上どう好きになったらいいか分からないのに、もっとずっと城之内を愛していたかった。愛していた。愛している。愛している。

溢れる感情が三年前のように海馬を苛むことはなかった。


( 最初から両思いでした / 海城連作 / 遊戯王 / 20090405 )  | |