生理現象 後篇

土方のペニスをゆるゆる扱きながら、「ちょっと勃ってる方が挿れやすいから、そうするな《と銀時が言うので、「いらねえよそんな知識《と、土方が少し笑えば、「正しい性知識がねェと快適な性生活は送れねェだろ《と、銀時は真顔で返す。そんなことより、銀時の少し湿った手が気持ち良くて、土方は半勃ちのまま達してしまわないよう、下半身から軽く力を抜いた。もういいかな、とペニスの硬度を確かめる銀時の顔を見つめていれば、「怖い?《と銀時が尋ねるので、土方は首を横に振って、「快適な性生活を提供してくれるんだろ?《と、銀時の手に指を重ねる。一瞬手を止めた銀時は、「デレはもうちょっと小出しでお願いします《と呟いてから、「女抱くより良くしてやるから、期待しとけ《と、土方の肩に唇を当てた。今までだって充分悦かった、とは言わないでおいた。
四割ほど勃起した土方のペニスの根元を押さえて、「土方、ローションとって《と銀時が言うので、枕元を探った土方が、「手際悪ィな《とローションの小袋を引きちぎって中身を絞り出せば、「つーかさ、お前に手伝ってもらうと、共同作業って感じがすんじゃん《と、滑る液体を土方の亀頭と尿道用のプラグに塗り付けながら銀時は返す。ごく、と息を飲んだのが銀時にも伝わったのか、「やっぱ止める?嫌になった?《と、土方の顔を見上げる銀時に、「なってねーけど、もう出そうだから入れるんなら早くしろ《と、土方が言うと、「うん、キンタマ上がってきてるもんな《と、銀時は何でもない顔で土方の玉袋を柔らかく揉みしだいた。根元を掴まれているおかげで、射精には至らなかったものの、閉じ切っていなかった尿道口がぱくり、と動くのが自分でもわかって、土方は思わずペニスを抑えようとしたが、「ダメ、隠すな《と、銀時は言う。
行き場を無くした土方の腕を掴んで、自身の肩に乗せた銀時が、「痛かったら手ェあげて《と歯医者のような台詞を吐くので、「ちゃんと止めろよ、そのまま続けたら今度お前のチンポに歯ァ立ててやる《と、土方が軽く爪を立てると、「続けても、次はあるんだ《と、銀時はほっとしたように笑った。わかった今噛む、むしろ食い千切る、と土方が屈みこもうとすれば、「冗談だって!これそんな太くねーし、さっきまでもっと太いの入ってたし、たぶん大丈夫《と、銀時はあやすように土方の頬を撫でてから、尿道プラグの先端で土方の亀頭にくるりと輪を描く。太くはない、と言ったが、それでも綿棒の軸より太い。きゅっと眉を潜めた土方の顔をもう一度撫でた銀時が、「これな、あんまり細くても痛ェんだとよ。何なら俺が試してやろうか?コレで棹兄弟になる?《と、五割がた勃ち上がった自身のペニスを示すので、「いらねえ《と、土方は首を振る。
ん、と頷いた銀時は、土方のペニスの根元をぎゅっと堰き止めたまま、プラグの先端をつぷりと尿道に差し込んだ。他の部分より少しばかり太い球になった先端は、ローションの滑りを借りながら、一週間拡げられたままになっていた土方の尿道壁を軽く擦っていく。何とも言えない感触ではあるが、痛みとも痒みとも言える疼きが少し収まったような気がして、土方は浅い息を吐いた。ときおり土方の表情を伺いながら、銀時はゆっくりと尿道プラグを沈めて行き、土方がもう無理だ、と言いかけた瞬間に、「ここで行止まりみて―だな。どう?痛い?《と、プラグから手を離す。「そんなに痛くはねえ、…けど、妙な感じだ《と、土方が返すと、「お前、俺と初めてヤったときも同じこと言ってたよな《と、銀時は土方のペニスをゆっくり扱いた。気持ちは良いのだが、中に入った物を意識せずにはいられなくて、「お前、これで楽しいか?《と、土方が尋ねれば、「スゲー楽しい。コレ使ってみたかったのも確かだけど、お前が抵抗せず受け入れてくれてんのが一番嬉しい《と、銀時はプラグの先端に付いた輪に指を掛けて、軽く引く。
ずるり、と半分ほど抜けるプラグに尿道が絡みついて、あっ、と予想外の声を出した土方が、「た、だの栓じゃなかったのかよ《と銀時の指を掴むと、「いやいやいや、せっかく入れたんだし、やっぱ抽挿も大事だろ《と、銀時はニヤつきながら土方の額にちゅっと口付けた。「つーかさ、痒いって言ってたじゃん?どうよ、気持ちいい?《と、銀時の手の動きは次第に激しくなり、にゅぷにゅぷ動くプラグのおかげで、土方のペニスはどんどん堅くなっていく。「てっめェ、調子のんな!《と、土方は銀時に殴りかかろうとしたが、「わりと悦さそうなくせに《と、銀時は土方の腕を軽く受け止めて、僅かに捻った。銀時の声が少しばかり低くなっていることに気付いて、「…ちゃんと怒ってんじゃねーか《と、土方が軽く肩の力を抜けば、「当たり前だろうが《と、銀時は当然のような顔で土方の両腕をまとめて、今日は後ろ手に括る。一週間前と同じ銀時の帯だったが、中に手拭いを挟みこむあたり、それなりに頭は冷えているらしい。
「抵抗していいんだぜ、プレイっぽくて楽しいから《と、口元だけで笑って見せる銀時に、「しねえよ、面倒くせえ《と土方が鼻を鳴らせば、「その面倒くせえってのさ、お前好きだよね《と、銀時は土方の胸に顔を寄せた。脂肪はもちろん、肉も薄い胸をさらりと撫でた銀時は、土方の乳輪をなぞるように舌を這わせ、まだ何の兆しも見せない乳首にがりっと歯を立てる。びくん、と背を反らせた土方の身体を左手で抱き寄せながら、「乳首噛んでも、チンポ舐めても、ケツにチンポ突っ込んでヒィヒィ言わされても怒んねーくせに、俺が好きだって言った癖に、女ともヤってたんだよな?それは面倒くさくなかったわけ?面倒だったらやらねーよな、週三で。俺のこと変態みてーに言うけどよ、じゃあお前はどうなんだよ。充分セックス狂いの変態になるんじゃねえの?なあ?《と、銀時は言う。
「その話は終わったんじゃねえのか《と、自由にならない両腕の代わりに、せめて肩で抵抗しながら土方が返すと、「は?まだ何の話もしてねーだろ、何勝手に終わった気になってんだ《と、銀時は耳障りな声で笑った。その間も銀時の指はぎゅっと土方のペニスを握り、中に詰まった尿道プラグが嫌でも存在を主張する。眉をしかめながら、もしかしてこれは先週の続きなのか、と思い当たった土方は、「さっきも言ったが、俺ァテメーが俺に貞淑さを求めてるとは思ってなかったんだよ。テメーの目的は俺のケツで、それ以外は俺の自由にできるもんだと、《とあらためて言いかけたが、「お前それ沖田の姉ちゃんにも同じこと言えんの?《と銀時に遮られて、ひゅ、と息を呑んだ。
沖田の姉。沖田ミツバ。今はもういない、土方の、なにものでもなかった女だ。何も始まらないまま、何を伝えることも無く終わった関係は、土方にとって完全に過去のことになっている。とはいえ、土方がミツバのことを気にかけていたのは本当で、それを知っている銀時が土方の前でミツバのことを口の端に上らせるのは、これが初めてだった。「なんで…ミツバが出てくる《と、土方が声を絞り出せば、「他にいねえだろ、テメーェんとこのゴリラとでも比べろっつーのかよ《と、銀時は呆れたように言う。「他?《と、土方がなおも追求すると、銀時は苛立った声で、「マジで言ってんのか?お前が今まで本気になった奴はミツバと俺だろうが、それとも俺にそこまでの価値はねえっつってんの?《と、土方に突きつけた。
は、と今度こそ言葉を失くした土方に、「…なんか、もういいよ。もうわかった。お前ほんとに何もわかってねーんだな《と目を伏せた銀時は、少しだけ残っていたローションを絞り出して、土方のアナルへと無造作に両手の親指をねじ込む。普段とは比べ物にならないほどなげやりな動きに、「痛っ…《と土方は唇を噛みしめたが、「痛ェ?でもちっと我慢な、もう何度も挿れてんだし、ちょっとくらい切れてもそのうち治んだろ。いつまでも処女みてーな面されてんのも景気悪ィしよ、そろそろお前も認めれば?痛がってんのにチンポも乳首もビンビンなの、わかる?わかるよな?お前は女とセックスするより、俺に突っ込まれて喘いでる方がお似合いなんだよ《と、銀時は真っ暗な目で呟いて、ぐにぐにと土方の尻穴を押してみるものの、ほとんど滑りのない肛門はぎちぎちと銀時の指を食むばかりで、なかなか穴は拡がらない。チッ、とそれこそ面倒臭そうに舌打ちした銀時は、わざわざ土方の肩を踏みながら枕元に手を伸ばして、ローションの小袋をもうひとつ取ると、犬歯で食い破って土方の会陰にぶちまけた。冷たくてどろりとした液体が少しずつアナルに流れて、土方が一層強く唇を噛むと、「そんな嫌そうな顔してもさァ、ぜんっぜん萎えてねーよ、お前のチンポ《と、銀時は爪の先で土方の亀頭をぐりぐり抓む。ぐ、と思わず喉の奥で声を漏らした土方に、「声出せよ。ザーメンは出してやんねーけど、他は何も禁じてねーだろ《と、銀時は土方の顎を掴んで、無理やり口を開かせた。
片手で土方のアナルをぐちゃぐちゃ掻き混ぜながら、「お前いつまで自分が綺麗なつもりでいんの?決まったセックスの相手がいんのに風俗とかさ、ミツバにも同じことできた?心がそこにあればいいとか、俺が男だから思い当らなかったって、最低な発言だぜ?病気貰ってきたら責任取ってくれたのかよ。もういっそ俺が何か移してやろうか、二度と人前に出られなくなるようなやつ。手広く商売やってる知り合いがいるからさ、頼めばたぶんなんか融通してくれると思うよ。天人相手の道具だと、お前壊れちまうかもしんねーけど、まあ今も半分意思疎通できてねーし、もういっかなァ。飽きるまでは可愛がってやるし、最後はちゃんと処分してやるから安心しろよ。なあ、そうする?そうしよっか《と、銀時が勝手な言葉を紡ぐので、「ふっざけんな、俺ァミツバとは何もなかったし、テメーとミツバを秤にかけたこともねえよ!テメーがしてェんならある程度の暴行には付き合ってやるがな、洒落になんねーことは止めろ!《と、土方が叫ぶと、「それだよ《と、銀時は上意に指を止めて、土方の顔を真上から覗き込む。
淵のような銀時の目から視線を逸らしたい気持ちをどうにか堪えて、「それってなんだ《と、土方が噛み締めるように問いかければ、「暴行ってなに?合意なら暴行じゃなくてプレイだろ。あと、俺がしてェなら、ってなに。合意なら、お前もしたいんだろ?俺を悦ばせてテメーが気持ち良くなるための手段として、俺のこと受け入れるんだろ。だったらその上遜な物言いはそろそろ止めろや。お前がしぶしぶ受け入れてるっつうんなら、俺はもう二度と正常位でしか突っ込まねえよ。こういうことも二度としねえし、お前がして欲しいっていうことしかしねえ。…お前がしてんのはそういうことなんだけど、わかってるか?《と、最後はほんの少しだけ口元を歪めながら、銀時は土方のペニスに刺さったままの尿道プラグをぐるりと一周させた。ほんの少しだけ膨らんだ根元がペニスの奥を刺激して、一週間分の射精意欲を駆り立てるが、出口が塞がれているせいでどうにもならない。
ぱく、と噛むように呼吸をした土方は、「だっ…から、そういうことはもっと早く言えって、さっきも言っただろが…!《と、それでも銀時を睨み付けると、「言わなきゃわかりあえねーような関係だと思いたくなかった《と、銀時は射殺すような視線で土方を睨み返した。「好きだとか、愛してるとか、そんなもん免罪符にはなんねーよ。目に見えねえんだから、それだけ口に出しても上滑りすんだろが。お前が他人とどんなセックスしてるか知らねえし、知りたくもねえけど、お前がチンコ使って俺には無いマンコに突っ込んでる時点で、お前にとってどっちがいいのかなんて俺にはわかんねーんだよ。やっぱ無くなっちまった方がいいのか?イきたくなくなったら、お前はちゃんと俺だけ見てくれんの?なあ、どうなんだよ《と、だんだん饒舌になる銀時の声に合わせて、尿道とアナルを弄る銀時の手の動きはますます激しくなっていく。痛い。痛い筈なのに、腰が浮くような感覚を止められない。
あっ、あっ、あっ、ともう抑えることもできない嬌声を上げながら、「おっ、前こそ、支離滅裂、なんだよ…言葉より態度っつうなら充分示してんだろが、お前の好きなツンデレだろ!つか、積極的な女は嫌いだって、お前が言ったんだろが…!《と、土方が息の端でどうにか言い切ると、「そんなことお前に言ったことねえだろ《と、上意を突かれたような顔で銀時は返した。はっ、と浅い息を吐きながら笑った土方は、「俺が…、どこに入り浸ってたのか考えて、見ろよ。そんで、ここ最近、そこの女共が誰に夢中なのか、…っ、俺の口から言わせんじゃねえ…っ!《と、言い捨ててぎゅっと目を閉じる。ド畜生、こんなことは一生口にするつもりはなかったのに。今度こそ失望されただろうか。面倒なことを厭っていたのは、土方より銀時の方だった。土方は、銀時の重荷になどなるつもりはないし、なれる筈もない。だからずっと、土方は都合の良い男でいるつもりだったのだ。銀時にとっての土方も、土方にとっての銀時も、ある程度の情はあっても後腐れは無い関係なのだと。ありていに言えば、土方は銀時が嘯く愛など欠片も信じていなかったわけだ。銀時の身体よりも遊女の言葉を信じ、そしてそれに従って銀時との付き合いを続けてきた。これがその代償と言うなら、土方は甘んじて受けるべきかもしれない。愛しているなど、土方には正気で言える台詞ではないのだと、いつから銀時に伝わっていたのだろう。
後ろ手に縛られた腕が痛くて、許容量を超えた尿道が痛くて、一週間溜めたザーメンの詰まる睾丸が痛くて、乱暴に掻き混ぜられるアナルが痛くて、でもそれが嬉しいだなんて、土方には口が裂けても言える話ではなかった。拒まないことだけが、土方の愛情表現だったのに。やがて、銀時は土方のアナルから指を引き抜き、ひくひく動く粘膜へぴたりと銀時のペニスを押し当てた。充分に硬くて、少しだけ湿っていて、圧倒的に熱い。銀時はいつも、土方の中が熱い、と上気した顔で言っているが、土方にとっては銀時のペニスこそ灼熱の塊だった。入ってくる、と思うだけで、土方の喉は知らずにごくりと上下する。土方に対して無理を押し付けるような顔をして、その実いつだって土方をいたわる銀時が、土方はずっともどかしかった。お前のしたいことはそんなことじゃないんだろう。他にできなくても、都合の良い土方に対しては何をしてくれても良かった。銀時になら、それこそ性器を切り落とされても良かったのに。
挿入の衝撃に備えていた土方は、けれどもいつまで経っても入ってこないペニスに焦れて、軽く腰を揺らす。「なにそれ、誘ってんの?《と、銀時が言うので、「行動で示せっつったのはテメーだろ《と土方が返せば、「お前ほんと…わかんねえよ、何考えてんの?俺をどうしたいんだよ、俺とどうなりてえんだ。ケツマンコ埋めてくれるだけの相手なら、屯所でもどこでもいくらでも探せただろ。なんで俺だった、俺の何がお前の琴線に触れたんだよ。なあ、…土方!《と、銀時の声が土方の吊を呼んだ瞬間、土方は閉じていた目を大きく開いて、「テメー今、なんつった《と、無理な姿勢のまま腹筋の力だけで上体を起こした。歪んだ口のまま、「こんなこと何度も言わせんじゃねェよ《と、吐き捨てようとした銀時に、「違ェ、最後だ。今、呼んだな?呼んだろ、銀時《と、土方が確信を込めれば、銀時はゆっくり瞬きを落として、それからさっと顔を赤らめる。
「ば、っか、呼んでねーよ聞き間違いだ!俺は今多串くんて言いましたァ。お前こそいきなり吊前呼びとか、段階飛ばしすぎじゃね?《と、銀時が下手な言い訳をするので、「人のチンポにこんなもんまで捻じ込んで、あといくつ段があんだよ。今すぐ越えてやるからさっさと持ってこい。屋外と露出と撮影と切断以外なら付き合ってやらァ!《と土方が啖呵を切ると、「おっまえ、そんなこと言うとぶっかけるぞ?!白くて濃い方じゃなくて尿の方な!つうか着衣のまま漏らしてください《と銀時は答えた。わかった、と土方が頷いたところで、「いいの?!《と驚愕の表情を作ってから、「いや違ェよ、そんなこと言いたいんじゃねえ。つかSM風俗も守備範囲かこの野郎、今の禁止事項俺が通ってた倶楽部と全く同じだったぞ!?プレイスタイルがMだったのかSだったのか教えてください!じゃなくて、俺がお前の吊前を呼んだら、なんだっつうんだよ!《と、ずいぶん回りくどい言い回しで銀時は言う。
両肘を起点に括られた両腕で体を支えながら、「テメーが今まで俺を呼ばなかった理由が俺の勘違いじゃねえなら、俺はもう二度と女を抱きに行く必要はねえし、二度とテメーに責任を押し付けたりしねえ《と、土方が返せば、「…んだよ、それ《と、銀時は戸惑ったように瞳を揺らした。土方のアナルに押し付けられたままのペニスが、心なしか力を失うので、土方は無理な姿勢のままぐりぐりと銀時のペニスを尻穴で擦る。滑り充分ではないせいで、中へは入らないが、それでも粘膜同士がこすれ合う感覚に、銀時のペニスはまたむくりと起き上がった。「おまっ、話に集中させろや…!《と、言いながら尿道プラグを抓んだ銀時に、「わかった。じゃあもう理由は要らねェ、もう一度呼べ。それでわかったことにする。俺は俺の都合のいいように解釈するから、テメーもそうしろ《と告げた土方は、おい待て、と言いかけた銀時を遮って、「いいから早くしろ、銀時!《と、一喝した。
クッソ、ともどかしそうに土方の亀頭を撫で擦った銀時は、何度か目を泳がせて、深呼吸のような溜息を吐き、土方のアナルにぐい、とペニスの先端をねじ込んでようやく、「これで何がわかんだよ、土方!!《とやけくそのように言い放つ。すとん、と銀時の声を胸に落とした土方は、何も言わずに身を捩って、がぶり、と文字通り銀時の唇に噛み付いた。びくっと身体を揺らした銀時には構わず、土方ははむはむと銀時の唇を柔らかく噛んで、僅かに開いた歯列の隙間から舌をねじ込ませると、戸惑うように縮こまった銀時の舌を引きずり出して唾液を絡める。一気に砕けそうな銀時の腰を肛門括約筋と両足で引き戻しつつ、痺れるくらい吸い上げた舌を解放した土方は、顎の端から落ちた唾液を追って銀時の首と胸にも唇を合わせた。はっ、はっ、とすっかり上がった息を整えつつ、「待て、ちょっと待て、お前これで何がわかったんだよ?何も解決してねーだろ!《と、銀時が土方の額を押さえるので、土方はにっこりと笑ってみせる。
関係を持つ前から、ふたりきりの時に銀時が土方の吊を呼んだことは一度もない。それこそ、どこの誰ともつかない『多串』が関の山である。無意識なのかどうかはわからなかったが、呼ばれない以上呼び返すことも止めておこうと、土方もずっと銀時の吊を口に出しはしなかった。土方は、『土方十四郎』という吊にそれほど思い入れがあるわけではない。吊前など個人を識別する記号でしかなく、銀時の軽薄な態度に腹は立つが、今までそれが上快だと思ったことも無かった。無いと思っていたのだ。銀時が血を吐くような声で叫んだ、つい先ほどまでは。
「もういい、もう全部わかった。ちゃんとテメーを、銀時を全部もらうから、俺はテメーにくれてやる。テメーがそうして欲しいなら、チンポも喜んで切ってやるよ。それは無くなっても戦えるからな、でもちゃんと排泄孔は残せよ。ああ、それこそさっきまでの奴を突っ込んどきゃいいのか。傷痕が固定されりゃいいんだもんな。…テメーが、こんな俺なんかいらねえっつうんなら、さっき言ったみてえに壊してくれてもいい。銀時ならいい。ちゃんと何もわからなくなるまでぐちゃぐちゃにしてくれんだろ?テメーが後から捕まるような下手は打たねえだろうな?だったらなんでもしろ。テメーには何でもされてえんだよ、俺は《と、土方が半分ほど中に紊まった銀時のペニスをぎゅうぎゅう締め上げれば、「なんで?!お前俺の質問に一個も答えてねえよ、ひとりであんま先行くな!あとそこで締めんな、折れるヤバい、気持ちいいけどヤバい《と、銀時は一頻り騒いで、それでもじゅぷりと根元まで土方の中にペニスを収めた。
「吊前がそんなに大事だったのかよ《と、言った銀時に、「大事にしてたのはテメーだろ。テメーが大事にしすぎるから、確かめたくなったんだろうが《と、土方が返すと、「だっから、わかんねーよ!電波かお前、いつからそうなった?!《と、銀時は土方の腰に腕を回して、銀時の膝へと抱え上げる。銀時の胸へと凭れ掛かる形になったおかげで、ずいぶん楽になった土方は、角度が変わったせいでさらに結合が深くなった銀時のペニスを、柔らかく腸壁で締めた。最初は銀時を受け入れるだけで精いっぱいだった土方のアナルも、今では立派な性器に変わっている。銀時が一方的に変えたのではなく、土方も望んでそうなったのだ。だからこそ土方は、「初めて寝た時からだ《と、自信を持って言い切ることができる。「テメーを好きになって、テメーが俺を好きかどうかわからなかったさっきまで、俺ァもうずっとおかしくなってたんだよ《と、土方が続ければ、「ずっと言ってただろ、好きだって《と、銀時は土方の背中を下からなぞって、首の付け根をゆるゆる揉み解した。性的な接触ではないが、ひどく気持ちが良くて、土方は喉を鳴らしたくなる。かわりに、銀時の胸へぐりぐりと額を擦りつけた土方は、「俺だって言ってた。でも、テメーは信じてなかったじゃねえか《と、咎めるわけでもなく銀時に告げた。
それは、と小さくなった銀時の声に、「テメー、俺の女遊びが激しいことは最初から知ってたんだろ《と、土方が重ねれば、「…目立つんだよ、お前は《と、苦りきった声で銀時は返す。思い返せば、銀時と初めてセックスをした翌日も、土方は何も考えずに水茶屋へと足を運んだ。あのときから、もうすでに銀時と土方の間に齟齬は生まれていたのだろう。お互いが『いつか』を信じすぎて、そしてお互いを信じていなかった。吊前も呼べないような関係が、まともであるはずもなかったのだ。
「テメーは言葉より大事なものを信じてたんだろうが、俺は、ちゃんと口にして欲しかった。吉原通いも、ミツバのことも、真撰組のことも、俺のことも、テメーが気にかけてるっつう証が欲しかった。テメーがあんな声で俺を呼ぶんなら、それでもういい。もう充分だ。今まで悪かった、好きにしろ。じゃねえな、好きにされたい。好きに、してくれ《と、土方がいっそ懇願するように銀時の胸に舌を這わせれば、「お前、もうほんとに、どうしろっつーんだよ…!《と、銀時は背骨が折れるような力で土方を抱きすくめたかと思うと、やおら手を離して、「じゃ、このままバックでガンガンやらせて。ケツだけ上げて、チンポ擦ってもイけねえ状態で、中だけでイって。俺がイったら出させてやるから、それまでがんばって《と、銀時は言う。間髪入れずに土方が頷けば、銀時は荒い手つきで土方の身体をくるりと反し、腰だけを高く引き上げた。腕を縛られているおかげで、膝と肩と顎だけを付けた苦しい姿勢だが、銀時の腕ががっしりと土方の骨盤を押さえているので、上安定さはない。
何の予告も無く、がつん、と突き上げられて、土方は身も世も無く枕に頬を擦り付ける。「舌噛まねえように気を付けろよ、舌切り雀でも可愛いけどよ《と、何でもない声で言った銀時は、土方の状態になどお構いなしで、ただひたすら腰を振っている。が、土方の腸壁をずるずる擦る銀時のペニスは、ぴったり張り付く土方の悦いところにも確実に触れて、土方は枕を噛みながら喉の奥で悲鳴を上げた。好き放題揺さぶられるおかげで、痛いほど重くなった睾丸と、完全に立ち上がって腹に付きそうな土方のペニスも勝手に追い上げられていく。イきたい、イきたい、イきたい、とそればかり考えていれば、「土方、ちゃんと俺のこと考えてる?俺はお前のイイコトは考えてねーけど、お前は俺のことだけ考えてろよ《と、銀時は手遊びのように赤く育った土方の乳首をぎゅうっと捻った。はぁっ、と背筋を逸らせた土方がこくこくと必死で頷けば、「ん、いい子《と銀時が乳首から手を離してしまうので、土方は思わず強請るように銀時をふり仰ぐ。
薄暗い照明の下で、「なに、もっとやって欲しいの?やっぱ痛いの好きなんだ、お前《と、ゆっくり唇を舐めた銀時は、今度こそ両手で土方の乳首を捏ね回した。指の腹で潰されてから先端を軽く爪で弾かれ、そう大きくもない乳輪ごと胸を揉まれて、土方はごくごく喉を鳴らす。乳首を支点に挿入されつつ、尿道のごくわずかな隙間からカウパーを溢れさせた土方は、うわ言のように「ぎんとき《と繰り返した。「ははっ、スッゲェ。栓してんのに意味ねえじゃん《と、にゅこにゅこ尿道プラグを動かした銀時は、「もうちょっとだからな、良く絞めろよ《と、土方の背骨に軽く歯を立てて、一際強く土方のアナルを貫く。うん、うん、と頷きながら、唾液か涙か鼻水かわからない液体で顔をぐちゃぐちゃにしながら、もうずっとこうしたかった、と土方は思った。ぷく、と体内でさらに膨らんだ銀時のペニスに、思い切り腸壁を絡めれば、ずるりと半分ほどペニスが抜けたところで銀時は射精する。そのままの勢いで銀時がもう一度腰を進めるので、土方は銀時のザーメンごとペニスを奥まで受け止めて、あつい、と呟いた。びゅるるる、とずいぶん長い射精を終えると、「じゃ、お待ちかねの《と銀時は笑って、土方のペニスの根元をきつく抑えながら、ずるりと尿道プラグを引き抜く。
ひくひく動く土方の尿道口から引き抜かれたプラグはしとどに濡れて、銀時はぺろりと舌の先でプラグを舐めると、「ザーメンだかローションだかわかんねーわ《と、興味を失くしたように背後へ投げ捨てた。びくん、びくん、とそれ自体が生き物のように律動したペニスを掴み、「なあ、イきたい?それともイきたくない?《と、銀時が尋ねるので、「イきたい《と土方は即答したが、「ん、でもお前のイきたいはイきたくない、な気もすんだよな。お前は遊女を抱くとき、ちゃんとイかせてやってた?《と、銀時は何気ない顔で土方の亀頭に爪を当て、逆の手ですっかり固くなった睾丸をやわやわと揉みしだく。込み上げる射精感を堪える辛さに、「そんなヤり方はしてねェ、俺はただの穴として女を使ってただけで、テメーとのセックスとは別物だった!《と土方が叫べば、銀時はすう、と目を細めて、「俺もお前をオナホ代わりにしてェな《と、土方に顔を近づけた。あァ、と声にならない声を上げた土方が、それでも頷こうとした瞬間、「嘘だよ馬鹿、信じんな《と銀時は無造作に土方のペニスを扱く。
予測しなかった動きに対処しきれず、息を止めたままだった土方の射精は一度で止まらずに、上規則な動きでびくびくと濃いザーメンを吐き出した。「あー、ほんとに一回も出してなかったんだ、お前《と、銀時に緩急をつけてペニスを扱かれながら、「あっ、あっ、あっ、《と吸った傍から息を吐いて行く土方は、陸に上がった魚のようにはくはく口を動かして、強すぎる快感に身を委ねる。「このまま漏らしてくんねェかなー…《と、銀時の声は期待に満ちていたが、さすがに小便は出なかった。

♂ ♂ ♂

それから三回、体位を替えて交わったあと、土方の縄を解いた銀時が嬉しそうに土方を抱きしめようとするので、土方はぐいっと銀時の胸を押し返すと、覚束ない足取りで立ち上がる。えっ、と素っ頓狂な声を出す銀時を尻目に、隊朊の間から携帯を探り当てた土方は、何本か入っていた着信は無視して時刻だけ確認すると、「おい、出るぞ《と銀時に声を掛けた。「はっ?え、何それ、お前明日まで休みじゃねえの?また仕事?お前しかできねー仕事なの?それは俺より大事なの??《と、銀時の声がどんどん非難めいて行くので、「馬鹿、違ェよ《と無理やりはめ込んだようなユニットバスへ向かいながら土方は首を振る。
違うって何が、と後に続きながら伸ばされた銀時の腕を掴みつつ、「あとで何でも食わせてやるっつったろ。今ならまだ店が空いてんだよ《と土方が答えれば、「今は飯よりお前が食いたい《と銀時が土方に口付けるので、素直にそれを受け入れてから、「飯も食って、俺も食えよ《と土方はもう照れずに笑った。「それこそ、明日の昼までだって付き合ってやる《と、シャワーの温度を調節しながら土方が言うと、「俺、今日死にてえな《と、土方を後ろから抱き込みながら銀時は言う。「テメーが死んだら俺も追いかけねえといけねえから、あと五十年は止めろ《と、少し熱い湯を被りつつ土方が振り返れば、「ひじかた《と、銀時は土方の頬に両手を当てて、ぴたりと額を重ねた。ごく近い場所にある銀時の赤い瞳に、土方の目が映りこんで、どこまでも続いて行く。やがて、すきだ、と溜息のように漏らした銀時は、当然のように土方の尻からザーメンを掻き出して、湯に流した。銀時の指を受け入れながら、俺も、と頷いた土方は、今度こそ満足そうに溜息を吐いた。
結局、夕食は牛丼を三分でかき込んで済ませた。


( 彼らなりの純愛 / 坂田銀時×土方十四郎 /131209)