生理現象 前篇

その朝も、土方は股間への激痛で目を覚ました。叫びそうになった口を押さえ、涙目になりながら布団をめくれば、土方の股間はなだらかに隆起している。いわゆる朝立ちなわけで、いつもだったらそう気にもしない。気分が乗ったら擦って出してしまうし、そうでなければ身支度を整えているうちにその内収まるような、その程度のものだ。だが、今はそうはいかない。唇を引き結んで寝巻の裾をくつろげた土方が、下着の縁からそっと手を滑り込ませれば、そこには半断ちにもなりきらない、いや、なりきれないペニスと、ペニスを冷たく取り囲む金属と皮の感触が伝わる。平常時のペニスに沿わせたそれは、望むと望まざるとに関わらず、土方のペニスが勃起すれば容赦なく肌に食い込んで痛みを与える、いわゆる男性器用の貞操帯だった。
今もこうして土方を苛む痛みを、気を鎮めることで何とか落ち着かせた土方は、僅かに変色したペニスをちらりと覗いて、布団に突っ伏す。これを付けられてから、今日で七日目だった。ご丁寧に鍵を掛けられたそれは、押しても引いても外れはしない。無茶をすればなんとかなるかもしれないが、さすがにデリケートゾーンなので、あまり無体はしたくなかった。場所が場所だけに、鍵屋へ駆け込むのも忍ばれる。いや、そもそもそのどれも、土方は選ぶことが出来ない。どうしてこんなことに、ともう一度深く溜息を吐いた土方は、のろのろと立ち上がって、布団の中で着替えを始めた。万に一つも、拘束された男性器を目撃されることがないように。

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一週間前のことだ。土方は、誰もいない万事屋の奥で銀時とセックスをしていた。上本意ながら、と言うほど深刻な話でもないが、土方のアナルに銀時のペニスが突っ込まれている。悔しいことに、銀時とのセックスはとても気持ちが良い。銀時の固くそそり立ったペニスが土方の中であらぬところを引っ掻くたび、喉の奥から信じられないほど甘い声が飛び出て、土方の頭もさんざんに掻き回して行った。ただの空洞である筈の腸壁がぐねぐねと銀時のペニスにまとわりつき、締め付ける感触がありありと伝わって、土方はそう白くもない喉をさらして喘ぐ。こんな場所がどうして気持ち良いのか、毎回上思議でたまらないのだが、とにかく腰が重くなるほどの絶頂感に苛まれながら、土方はその夜も幾度となく果てた。途中から数えるのを止めてしまったが、銀時も三回は出していたので、まあ悪くはないのだろう。
行為の余韻も冷めやらぬまま、とにかく風呂場で汗を流し、ついでに腹の中の物も丁寧に掻き出した土方は(銀時にはいつも俺がやりたい、とねだられるのだが、さすがに断っている)、銀時の尻を蹴っ飛ばして布団のシーツを取り返させた。汚れたシーツを丸めて部屋の隅に放り投げる銀時へ、「おい、眼鏡に洗わせたりすんなよ《と土方が声を掛ければ、銀時はびくっと背中を震わせて、「…しねえよ?《と小首を傾げて見せる。「テメーがやっても可愛くねーんだよ《と言いつつ目を反らした土方は、それでも一応枕元にまとめて置いた朊の山から煙草の箱とマヨライターを探り当てた。咥え煙草に火を付けながら、「灰皿《と土方が要求すると、銀時はその辺に置いてあった湯呑を差し出す。土方が中を覗くと、飲みかけの茶のようなものが残っていた。「いつのだ?《と、側面に付いた茶渋の位置から昨日今日のものではないと当りを付けて、土方が嫌な声を出すと、「この前新八がここを片付けた時のだから、…六日?《と、銀時は言う。「ありえねー、台所まで十歩もねーだろ《と、指先で湯呑を摘まんだ土方が、それでも湯呑の縁で灰を落とせば、「居間の灰皿までは五歩なんですけどねェ《と、布団に這い寄りながら銀時は返した。
ふーー、と吐き出した煙を銀時の顔に当てながら、「俺は良いんだよ、客なんだから《と土方が素知らぬ顔を作ると、「あっそ《と言いながら銀時は布団にもぐりこんで、両腕を土方の腰に巻き付ける。熱を伴う感触に、「あと一回な、吸い終わるまで待て《と土方がてのひらを重ねれば、「そうじゃねーよ《と、土方の太股に額を押しつけて、銀時は首を振った。くすぐってェ、と土方は銀時の頭を押し返すが、銀時は離れない。その形のまま、「お前さ、俺に何か言うことがあるんじゃねーの?《と、銀時は言った。たっぷり煙草一本分の呼吸を繰り返してから、「特にねえが《と土方が返せば、「…それはお前にとって取るに足らねェことなのか、それとも俺がそうなのか、どっち?《と銀時は妙な声を出す。生来気の長い方ではない土方は、湯呑の縁でもみ消した吸殻を淀んだ茶に落とし込むと、「テメーこそ、言いてェことがあんならはっきり言ったらどうだ《と、力づくで銀時を腰から引き剥がした。
と、土方を見上げた銀時の目がいつにもましてうつろなので、土方は少しばかり眉を寄せたが、「なら言うけどな、お前一昨日の晩、どこで何してた《と、銀時が固い声を出すので、「客の情報は漏らさねえのが吉原の誇りだろうが《と、溜息交じりで銀時の髪に手を置く。何の話かと思えばそんなことか、と完全に脱力した土方へ、「店の妓から聞いたんじゃねえ、たまたまお前を見かけた奴が世間話として教えてくれたんだよ《と銀時は告げ、「何しろ、三日と開けず通ってるっつー話だからな《と、嫌な声で続けた。土方の腰を抱く銀時の腕に力がこもるので、「何か勘違いしてねーか、俺ァ毎回店も買う相手も変えてんだぞ《と土方は言ってみるが、「通ってるのは否定しねェのな《と、銀時の声音は変わらない。
「最初は話半分だったし、お前にも付き合いがあると思ったよ?ゴリラの付き添いとか、接待のついでとか、でもそれにしちゃあんまり数が多くねえか《と、そこで一度言葉を斬った銀時は、「週三てなんだ、週三て!俺とは月三がいいとこだろ?!会えねえ日ならまだしも、『酒だけ』って別れた夜に女抱きに行くとか、マジありえねーよ!!《と、一気に声を荒げてまくし立てた。うるせえな、と顔をしかめた土方は、「あのなあ、テメーと抱き合って二時間で終わった試しがねえだろうが《と、今までのセックスを振り返る。昼過ぎ、ご休憩で入った筈のホテルを出るのが次の昼、なんてことも珍しくないのだ、この男との合歓は。それはそれで土方も嫌いではないし、銀時とセックスする時は目一杯付き合いたいと思うが、だがしかし毎回それでは身体が持たない。充足感を得る代わりに、精力と体力を根こそぎ奪われていては元も子もないのだ。
「ちょんの間で済ませてえ時もあんだよ。屯所じゃあおちおちマスも掻いてらんねーからな、ああいうとこで抜くのが手っとり早ェっつーだけの話だ《と結んだ土方が、ふと思い立って、「なんならテメーの揚げ代も出してやるから、付き合うか?それなら吉原で酒も飲めんだろ《と、斬り出せば、銀時はひどく傷付いたような顔で土方を見つめる。
「お前、俺のこと何だと思ってんの?《と、震える声を抑えるように銀時が言うので、土方が「恋人だろ《と何でもないように返すと、「なのに、俺に遊女引き合わせてくれるわけ?《と、銀時は問いを重ねた。少しばかり考えて、「なら、陰間茶屋でも紹介してもらうか《と得心したように土方が頷けば、「そう言う意味じゃねーよ!!?何お前、ほんっと何?俺が女とヤっても、男にヤられても、何とも思わねーのかって聞いてんだよ!!《と、銀時はほとんど胸倉を掴む勢いで土方へと迫る。
何熱くなってんだ、と銀時の頬を押し戻しながら、「女々しいこと言うんじゃねーよ、たかが風俗だろが。心はテメーにあるんだからしゃんとしてろ《と言った土方は、銀時の唇にちゅ、と軽く吸いついて、「なあ、もういいか?これ以上ヤんねえなら今日は寝かせろ、明日も仕事なんだよ《と、あやすように銀時の髪を梳いた。見た目よりずっと柔らかい銀時の髪は、遅れ毛一本見せないような遊女の髷とは本質的に異なる。別に顔は見たくないの土方は、吉原を含む性風俗施設でほとんど後背位しか取らない。ある程度濡れるように前戯は施すが、とても身を入れてはやっていられないし、正直顔さえ売れていなければローションで滑らせて入れて出して終わらせたいくらいだ。完全に肉としての感触しか必要としないそれは、土方にとって排泄行為と同じである。
だから、わからなかったのだ。あっそう、と呟いた銀時の声がなぜそんなに冷たいのか、ふいに握って捻られた両手首がどうしてあっという間に括られてしまったのか、そうなるまで全く。
銀時自身の帯でぐるぐる巻きにされ、銀時の掌で押さえ付けられた腕は、どうもがいても自由にならない。普段Sを公言してはばからない銀時だが、土方とのセックスはいつもいたってノーマルな(むしろ丁寧すぎるほど丁寧な)ものだったので、わけがわからない土方は、「万事屋?なんだ、これ《と、戸惑いながら銀時へと声を掛けた。「このままするのか、そういうアレか《と続けた土方に、「はぁ?お前、こういうの好きなの?《と銀時は嫌な声で笑う。お前がしたんだろうが、とむっとした土方の前で、「お前がどんな爛れた性生活を送ってきても、過去ならいいと思ったよ。でも、今はダメだろ?俺がいんだからさ、女だろうが男だろうが浮気は浮気だろ《と、銀時が言うので、「だから風俗だっつってんだろーが。なんなら監察側の証拠でも出してやろうか?総悟の子飼いなら俺にも甘くねーぞ《と、苛立った声で土方が答えれば、「風俗は浮気にならねえって、お前はそうでも、俺はそう思えねーんだよ《と、銀時はぴしゃりと土方の声を跳ね除けた。
一瞬絶句してから、「んな話、今まで一言もしなかっただろ《と、土方が反論すると、「うん、でもさっき言ったろ。お前には伝わってなかったけどよ《と、銀時は肩をすくめて、「お前がさァ、なんか俺にちょっとでも気兼ねしてるとか、訴えたら辞めてくれるとか、そういうんなら許してやろうと思ったけど、そうじゃねーんだな《と独り言のように続ける。言いながら、ギリ、と手首を掴む銀時の手に力が入るので、「おい、痛ェ《と土方が顔を顰めれば、「だから何?俺はもうずっと胸が痛ェんだよ《と、投げやりに銀時は言った。銀時の目が死んでいるのはいつものことだが、これはどうも尋常ではないらしい。爛れた恋愛しかしてこなかった、と言う銀時が、こんなにまともな倫理観を持っているとは欠片も思っていなかった土方は、ようやくまずいことになった、と脳内に警鐘を鳴らしたが、もう遅い。
「お前、ほんっと何なの?俺のこと好きって言う癖に、下半身は別の生き物って奴?すげーよな、俺の下でさんざん喘いでるのにまだ足りないってさぁ、自信無くすわ《と、銀時はことさらゆっくり土方の身体に手を滑らせると、素肌のままだった下半身に指を這わせて、「…だから、そういうだらしねえ下半身には躾が必要だろ《と、柔らかく土方の性器を握り込んだ。手ひどく犯されるのだろうか、と身を縮めた土方は、けれども次に訪れた冷たくて硬い感触で目を開く。え、と身を捩った土方はなんとか体を起こそうとするが、腕を頭上で縛られ、銀時が太腿に乗っているせいでほとんど首しか持ち上げられない。それでもなんとか見下ろした下半身では、銀時の指が土方のペニスを。
「は?ちょ、まっ、何して、《と、土方が上擦った声を上げれば、「何って、見てわかんねえ?《と、至極上思議そうな顔で銀時は首を傾げた。その顔のまま、「たたねえように締めてんだよ《と、銀時は答えて、皮と金属で構成された明らかな拘束具を、満足そうにペニスの先まで巻き終えた。理解が追いつかない土方をよそに、「ん、上々《と頷いた銀時は、「痛くねえ?《と、土方のペニスを軽く掴む。「いや、別に《と、それほど強くはない拘束に、土方が思わず首を振れば、「良かった《と銀時はごく普通の顔で笑ってから、「最後にこれな、勃ちが甘いまま出さねえように、一応栓もしとくわ《と、土方に留め具付の細い棒を掲げて見せた。とろり、と棒にローションを垂らした銀時へ、「ちょっ…と待て、それをどこへ入れる気だ《と土方は軽く蒼褪めたが、銀時は答える前に土方のペニスへ手を添えて、「動くなよー、あんま急かすと中傷つけちまうから《と、ごく狭い尿道へと躊躇いなく棒を突き付ける。
ぐるり、と一度亀頭をなぞってから、つぷ、と差し込まれた瞬間、ぞわりと全身に怖気が走って、「やめ、止めろ万事屋、…よろずや!《と、土方は叫んだが、「大丈夫だって、心配しなくてもちいせー穴は空いてっから、小便は出せる《と、銀時はまるで見当違いの答えを返した。何を言っているのだ、こいつは。小便は出せるから??まるでこのまま出さなければいけないような口ぶりである。じりじりと押し込まれた棒の感触に大きく首を振りながら、「何考えてんだてめー、洒落になってねえぞ!今すぐ抜け、そんで外せ!!《と土方が声を荒げれば、銀時はとたんにぴたりと手を止めて、魂が抜けたような眼で土方の顔に焦点を当てた。
「なに、文句あんの?俺は別に、このまま全部潰したって良いんだぜ?《と、抑揚のない声で言った銀時は、無造作に土方のペニスを握る。そこまで力は籠っていないが、半分がた収まった棒と、拘束具とが肉を挟み込んで、土方は堪えきれずに声を上げた。土方の悲鳴には構わず、銀時はさらにもう片方の指をアナルへと押し込み、ぐるりと掻き混ぜながら、「後ろさえ無事なら俺とのセックスは出来るわけだしよ《と言ってのけると、「二度と勃起しねえようにしてやろうか《と、土方に問いかける。下手な答えを返せば一瞬でどうにかされる、と本能的な恐怖を感じた土方が、ぶんぶん首を振ると、銀時はよしよし、と土方のペニスを撫でて、「まあ、俺もお前のここ可愛がんの嫌いじゃねーから、やりたくはねーんだよ。ただ、俺以外の誰かが触るかと思うと怖気が走るだけで《と、言った。ごくり、と息を呑む土方をよそに、銀時は最後まで棒をペニスの中へ差し込んでしまうと(たぶんペニスの半分ほどまで入った)、留め具を拘束具の一部につないで、小さな錠をかける。
かちゃん、と無情な金属音が響いたところで、銀時は土方の太腿から降りると、布団の脇に座ってまじまじと土方の股間を見下ろす。「わりと似合うぜ?お前もそう思わねえ?《と話を振られた土方が、「…何言ってんだ…《とゆるゆる首を振ると、「いいじゃん、俺は似合うと思うんだから喜んどけよ。これで、女抱きにも行けねーな《と、銀時は楽しそうに土方のペニスを指で弾く。った、と漏らした土方は、「行かねえ、お前がそんな嫌がってんならもう行かねえから、今すぐ外してくれ《と下手に出てみたが、「ダメだ、もう口だけじゃ信用できねえ《と、銀時は首を振った。
だったらいつ、と土方が尋ねれば、「次会える時に外してやるよ。非番はいつ?《と、銀時が首を傾げるので、「あ、明後日《と土方が咄嗟に返すと、「はい嘘吐いたー。お前の非番がそんなすぐ来るわけねーじゃん。つーか知ってんだよ、テメーんとこの大将に聞いてんだからよ。八日後だよな《と、銀時は呆れたように土方の顔を見下ろす。「明後日の夜も、時間は取れる《と食い下がった土方に、「次の日起きられなくなるからヤなんだろ?俺と二時間コースでしけこみたくねーんだろ《と、銀時は意地悪く返した。確かにそうは言ったが、それとこれとは話が別である。八日間もこのままでいろと言うのだろうか。こんな得体の知れない物を巻きつけて、屯所で生活しろと。「べ、便所はともかく、風呂はどうすんだ!大浴場なんだぞ?!《と、もう恥も外聞もなく土方が泣き言を言うと、「それこそてめーでどうにかしろ。遊郭にしけこむ時間があんなら、風呂位どこでも入れんだろが。ああ、ここ貸してやっても良いぜ?神楽もいるけどな《と、銀時は鼻で笑った。どうやら本気のようである。
こうなったら、銀時が土方の拘束を外した瞬間に鍵を奪うか、あるいは皮の部分をどうにか切って、と土方が覚悟を決め掛ければ、「あとな、お前が今俺をどうこうしようとしたら本気でチンコ潰すし、次に会ったとき勝手に外してても潰すから《と、銀時は一足先に釘を刺した。ひゅ、と息を呑んで、「…そんな、…こんなことする前に、いくらでも方法はあっただろが《と、土方が苦い声を漏らすと、「お前が気付かなかっただけで、俺結構牽制してたと思うんだけど?吉原に知り合いがいるとか、昨日の夜何してたとか、夜電話かけても繋がんねーことあるよな、とかさあ、もう完全に疑ってただろ。お前の良心に訴えようとした俺が馬鹿だったな《と、銀時は大きく溜息を吐いた。
それから、「で、どうする?今潰して欲しい?それとも、次まで我慢する?《と、銀時があくまで二択のような体を整えるので、「…我慢…する…《と、唇を噛みしめつつ土方が返せば、「ああん?聞こえねーよ、あとお前もうちょっと立場理解しろよ。頼んでんじゃねーの、脅してんの《と、銀時は土方の乳首を捻る。容赦のない指に呻いた土方が、「我慢す…します、だから離せ、…離してください!《とやけくそのように言い放てば、「どうせ答えは決まってんだから、最初から素直にしとけよ。別にお前のこと苛めたいわけじゃないんだからさァ《と、銀時は飄々と返した。
土方の腕を戒める帯を解いてから、「じゃ、寝るか。あしたから大変だと思うけど、頑張れよ《と他人事のように銀時が言うので、「一発殴って良いか《と、薄く痕が残る手首を擦りながら土方は銀時を睨む。「ええ?銀さんDVは反対《と、まるでいつもと変わらない調子の銀時に、どの口が、と土方はますます眼光を鋭くしたが、「ごちゃごちゃ言うと次も外してやんねーぞ《と銀時が声音を変えるので、諦めて目を伏せた。せめてもの意趣返しとして、土方がごろりと寝返りを打って銀時に背を向ければ、「愛してるって、土方《と、銀時は土方の身体に柔らかく腕を回す。
「俺も愛してる《
のに、と心の中に付け加えた土方の後ろで、「だったらもうちょっと、態度で示してくれよ《と、銀時は呟いた。そっと触れてみた土方のペニスは、初めての異物で軽い痛みと熱を帯びている。はーー、と深く溜息を吐いた土方は、明日からの悲劇を知る由もなく、情けない気分で眠りに落ちた。銀時の勃起したペニスが太腿に擦りつけられていることには、最後まで気づかないふりを通した。


( 彼らなりの純愛 / 坂田銀時×土方十四郎 /131201)