※サタンと藤本神父のあれこれ捏造話 それなりにR-18ですのでお気を付けて
※藤本神父が受けていればなんでも良いという方向けです


私 の そ む き の 罪 を 拭 い 去 っ て く だ さ い


夜の礼拝を終えて自室に戻った藤本は、ベッドに腰掛けて秘蔵のエロ本を捲っていた。修道院では飲まないことにしているので、藤本はサイドボード代わりの古い丸椅子にみかんを積み上げて、メリメリと皮を剥いている。テーブルライトの褪せた光の下で食べるみかんは美味いし、女の子は可愛いし、胸は大きいし、それなりに言うことはないのだが、難を言えばこのままだと滲みると言う辺りだろうか。みかんの汁で。まあそれはおいおい手を拭いてから、とまたひと房みかんを頬張った藤本は、がちゃ、とドアノブを弄る音で顔を上げる。時刻はまだ10時過ぎだが、修道院の朝は早いので、静まり返った建物の中でそれはひどく耳触りに響いた。「誰だ?入ってこいよ」と言った藤本の言葉通り、扉には一応鍵が掛けてあるものの、外側からも内側からも抓みを捻れば開くようになっている。何しろ男所帯であるので、プライバシーもクソもないのだ。見られて困るようなもののないしな、と、エロ本を閉じることすらせずに藤本が扉を眺めていれば、ひとしきりがちゃがちゃとノブを回して、入ってきたのは燐である。珍しいな、と藤本が思ったのは、雪男はともかく反抗期真っ只中の燐が自分から藤本に会いに来たこと自体だった。けれども、燐が燐なりに就職と進学の狭間で揺れていることは知っていたので、ベッドの真ん中から少し身体をずらして、左手でぽんぽん、と清潔なシーツを叩いて燐を招く。「何暗い顔してんだ、こっち来い」と藤本が声をかければ、燐はよろよろと藤本のベッドに近づいて、心持ち藤本に寄り添うようにぽすんと腰を下ろした。うん、と頷いた藤本は、しかし燐が一言もしゃべらないので、「どうした?学校で何かあったか?それとも雪男とか?」と少しばかり水を向けたのだが、燐からは目覚ましい反応がない。実のところ人の感情の機微を計ることがあまり得意ではない藤本は、軽く首を掻いて視線を泳がせると、「そうだ、みかん食うか?ああ、エロ本読むか?俺の秘蔵の」とろくでもないことを言いつつ雑誌を広げる。いつもの燐だったらここで顔を赤くして怒鳴り散らすか、顔を赤くしてそれでも視線だけは雑誌を追う筈なのに、今夜はどちらでもなくゆるりと顔を上げて、そして唇の端だけで笑った。

その瞬間、ぞわり、と悪寒を感じた藤本は、エロ本とみかんを投げ捨てて傍らの十字架を手にすると、「お前は誰だ」と、燐に、燐の形をした何者に問いかける。「…随分なご挨拶だなあ、燐の、…いやあ?お前にとっては『メフィストの』父親って言った方が良いのかぁ?」と、赤い唇を歪めて、燐に宿ったサタンは言い放つ。青い焔の欠片も、悪魔の証拠である尖った耳も尻尾も伺えないが、藤本はこの気配を知っていた。燐に紛れて気付かなかったことを悔やむ藤本が、ともかく十字架を手に「どうやってここに来た、結界は解けていない筈だ」と歯噛みしながら問いかければ、サタンはゆるく首を傾けて、「結界なんて意味ねえだろぉ?」と、言う。それから、俺と、コイツの間には血の道が開かれてる」と、サタンは少しばかり伸びた爪で燐の首筋に血の痕を残した。「止めろ、燐を傷つけるな!」と藤本が恫喝すれば、「うるせえなあ、ほんの少しだろうが。そのうち世界ごと俺のものになるしなぁ」と、焦点の合わない目でサタンは返す。「…燐は覚醒しない、お前のようにはならない」と、藤本が自身に言い聞かせるように呟くと、サタンはどろりとした視線を藤本に送って、「てめえらがどう足掻いても燐は、悪魔だ」と言い切った。藤本が楯のように掲げる十字架に手を伸ばして、息をするようにぽきりと折ったサタンは、「ほぉら、俺の力が無くても燐は十分強いだろうが」と、藤本を嘲笑うように破片を投げ捨てる。息を詰めてサタンを睨みつける藤本から目を離して、燐の掌を明かりに翳したサタンは、「それにしてもなかなか便利だな、さすがに俺の血が入っていれば早々壊れねえし…いやぁ?お前らが焔を封じているから、この程度で済んでんのかもなあ」と、血の通う頬を愛しげに撫でた。「その身体は燐のものだ、虚無界に還れ、悪魔」と吐き捨てた藤本が、枕の下に置いた銃を掴みだす前に、「その悪魔がダイスキな神父様はどこのどいつだろうなあ、おい、聖騎士?」と、瞬き一つで近づいたサタンは藤本の手首を締め上げる。みし、と骨の軋む音がして、耐えきれず銃を離した藤本を、無造作にベッドへと放り投げたサタンは、「お前からは今も昔もメフィストの匂いがする」と、くつくつ笑いながら言った。「何しに来たんだお前」と、対してスプリングの効かないベッドで背中を打った藤本が問いかければ、サタンは目を細めて、「ただの暇潰しだよ」と吐き捨てる。

「本当はお前に入ってメフィストと遊ぶのが一番楽しそうなんだがなァ、なんだかんだでお前の居場所は良く分からなかったし」と言うのは褒められているのだろうか、と藤本は思いつつ、掴まれていない手でどうにか逃れようとするのだが、どう足掻いてもサタンの指は外れてくれない。「くっそ、」と苛立ち紛れに零せば、サタンは藤本の顔に目線を合わせて、「まあでも、息子の身体でお前と遊ぶのも、それなりに悪くはなさそうだよ」と、この上なく楽しそうに笑った。「おい、止めろ、それは止めろ!」と、寝巻き代わりのシャツに手をかけたサタンに、いっそ懇願するような声で藤本は言ったのだが、「お前なあ、悪魔に『止めろ』は『もっと』にしか聞こえねえんだよ、メフィストに教わらなかったか?」と、サタンは意に介さず、力任せに白い布を引き裂いた。それから、「いいなァその目、俺と息子に犯される気分は最高だろうなァ?」と藤本に告げるサタンは、黙示録を唱え始めた藤本の顔を一発殴ると、「だぁから、そんなものが効かねえことは15年前に知ってんだろう、耳障りだから止めとけ」と不機嫌そうに呟く。衝撃で眼鏡の飛んだ藤本が、前歯で切れた唇から血の匂いを嗅ぎ取りながら、なおも神を祝福する言葉を止めないので、サタンは薄く目を細めて、「…聞き分けのねえガキだな」と言うと、無造作に自分の-燐の-手首に歯を当てると、何のためらいもなく皮膚と肉とを食い破った。ぱたぱたぱた、と藤本の上に鮮血が落ちて、「っ、おい、傷を付けるなら俺だろうが!!!」と藤本は詠唱を止めて叫んだ。「俺の息子なんだ、これくらい屁でもねえよ。…ねえが、今はまだニンゲンの身体だからなあ?お前があんまりうるせえと、うっかり壊したくなっちまうかもな」と、サタンはうっすら笑いながら、燐の血を掬って藤本の胸に擦り付ける。藤本は一瞬だけサタンを睨みつけて、ぎゅう、と目と口を閉じた。「そうそう、そうやって良い子にしてればそれだけはやく終わるからな〜終わるといいなあ?」と、歌うような節を付けて言ったサタンは、掴んでいた藤本の手を軽く眺めて、先ほど放り出した十字架をつまみ上げると、藤本の両手首を纏めて頭の上で括ってしまう。ふふん、と鼻を鳴らして、「おい、目ェ開けろ」とサタンが吐き捨てるように言えば、藤本はそろそろと瞼を開いて、サタンの顔をまっすぐ捕えた。歪んではいても潤んではいない藤本の目に、「これだから聖職者は」と呆れたようにサタンは言って、まだ血の滴る指で「いっそ抉ってやったら物の見方も変わるのかねえ?」と、藤本の眼球を突く。藤本が何の反応も返さないので、「まあ、いいけどな」と漏らしたサタンは、無造作に藤本の寝まきが割のジャージから藤本の性器を取り出して、これだけは優しく捏ね回した。んん〜?と、面白そうに藤本を組み敷くサタンの下で、性器を固くし始めた藤本が僅かに視線を揺らすので、「なァんだよ、気持ち良いのか?息子の手が?それとも俺の手か?」とサタンが問いかければ、「今はお前の手だ」と藤本は言う。ふうん、と手を止めたサタンは、ふ、と身体を屈めて裂けた藤本の唇を舐めると、「お前のそういう冷静なところは、評価してやっても良いぜ」と告げた。

それから、藤本の足からずるりとジャージと下着を引き抜いたサタンは、大きく藤本の足を開いてまじまじと藤本の股間を眺めて、「なぁ、お前メフィストに突っ込まれてるんだよなぁ?あいつはどんな風だ?優しいのか?」と尋ねる。なあ、と重ねながら、サタンが藤本の亀頭に爪を立てるので、「…そんなこと、どうでも良いだろ…っ…」と、弾みそうな声を押さえて藤本が返せば、「俺は知りてえんだよ、わかるだろ」と冷めた声でサタンは言った。いっそ分かるかそんなもの、と吐き捨ててやりたい藤本は、でも燐の身体が大切だったので、「…それなりに、優しいよ、最初から」と割合しっかりした声で答える。けれども、その途端藤本の性器を握るサタンの手にそれなりの力が込められるので、ひゅ、と息をのみ込んで耐えた。「へぇ、相変わらずニンゲンが好きなんだなアレは」と言いながら、藤本の性器を乱暴に扱いたサタンは、藤本が達する前に手を止める。は、と浅い息を吐いた藤本が、「おまえっ、何なんだよ、メフィストフェレスがどうした」と抗議のような声を上げると、「どうもしねえよ、ただ、…可愛い息子を誑かす聖騎士にはやっぱりお仕置きが必要だと思っただけだ」とサタンは返して、それでも燐の血で濡れた指を、藤本の後腔に突き入れた。ぎゅう、と藤本の縛られた両腕に力が籠るのを見て、「使いこんでる癖に痛ェのか?それとも、そう言う振りもメフィストに仕込まれたか?」と、下卑た声でサタンが首を傾げれば、「るせぇ…っ、俺だって久しぶりなんだよ…!」と、切れ切れの声で藤本は言う。すう、と目を細めたサタンは、くつくつと笑い声を上げると、「じゃあもう突っ込んでやらねえとな」と指を引き抜いて、ハーフパンツから取り出した燐の性器を藤本の肛門に押し当てると、まだきつい窄まりを一気に押し進んだ。ブチブチ、と何かが裂ける音がして、蒼白になった藤本には構わず、血液を潤滑油代わりにしたサタンは何度か抽送を繰り返して、「もっと締めらんねェの、お前」と、藤本の乳首を爪で抓む。ビク、と藤本の身体が震えた瞬間に、藤本の括約筋も収縮して、「やればできるじゃねぇか」と、サタンは満足そうに微笑んで、藤本の乳首をねじり上げたまま藤本の肛門に性器を打ちつけた。

「っう、ぁ、…ふ、ぅ、……っくぁ、」と、時々息を詰めながら、藤本がほとんどの苦痛に身を捩ると、サタンはもう片方の手で藤本の性器に触れて、「お前、ガチガチじゃねえか、ここは萎えとけよ、なぁ?」とサタンは藤本の耳元で囁く。サタンの吐息にすら耐えきれずに、「ふっ、ぅ、」と藤本が唇を噛み締めれば、「痛いのもイイんだって、今度メフィストに教えてやれよ、その方が喜ばれるんじゃねえか?」とことさら強くサタンは藤本の性器を握りこんで、その間も抽送は止めずにいる。バチュ、バチュ、と空気が抜ける音と水気が籠る音が結合部から聞こえて、藤本はいっそ意識を飛ばしてしまいたかったのだが、どうしてもそれはできない。縋るものもないまま、サタンの手の動きに合わせて何度か切れ切れに吐精した藤本は、縋るものもなく、ただ両の掌に爪を食いこませて、サタンが腰を動かす度に息を吐く。やがて、ぐ、と一瞬サタンの性器が膨れて、どくどくと藤本の腸内に精液を吐きだすと、サタンは満足したように身体を起こして、藤本の肛門から性器を引き抜いた。ぬるぬるとした粘膜から性器が出て行くのと同時に、白い精液と鮮血がぱたぱたとシーツに落ちて、ピンク色の滲みを残す。はあ、はあ、と浅い呼吸を整える藤本は、これで終わった、と思ったのだが、藤本を見下ろしたサタンが不意に両腕を掴んで藤本を引き起こすので、あらぬところに痛みが走った藤本は大きく顔を歪めた。藤本の具合などまるで気に止めないサタンは、「じゃ、次は舐めろ」と、当たり前のことのように藤本に告げる。はっ?と一瞬意味がわからなくてサタンの顔を眺めた藤本は、次の瞬間頭を押さえつけられて、ようやくサタンの意図に思い当たった。「ふ、ざけんなっ!」と掠れた声を上げた藤本の目の前には、まるで力を無くしていないサタンの性器がそそり立っていて、ごく、と知らずに藤本は息を飲む。「ふざけてねェよ、お前の血で汚れてるんだから、お前が綺麗にしろよ」と、藤本を押さえつけるサタンの力はまるで揺るがない。ぐぐぐぐ、としばらく均衡を保っていた藤本は、けれども、「早くしねえと、こいつの舌噛み千切るぞ」と言うサタンの声が少しも笑っていないので、そろそろと這い蹲ってサタンの股間に口を近づける。自然と腰を高く上げる形になって、「悪くねェ眺めだなァ?」と嘲るようにサタンは呟いた。ぐ、と意を決して、藤本がサタンの性器を軽く舐めれば、「真面目にやれよ」とサタンの声が落ちるので、藤本は息を吸い込んで、じゅぽ、とサタンの性器を咥えこむ。唾液が多めに出るように舌を這わせて、先ほどのサタンと同じように顔を上下させてやれば、「やればできるじゃねえか」と、サタンはせいぜい優しげな口調で藤本の髪を撫でた。が、「でも生温ィな」と言い放ったサタンは、両手で藤本の頭を抱え込むと、喉の奥に思い切り性器を押しつける。「んっ、む、」と、ほとんど息を止めかけている藤本の口を良いように扱って、びゅる、と射精したサタンが、興味を無くしたように藤本から手を離せば、「げほっ、ぐっ、ふ、かはっ、は、は、は、はー、」と、血液交じりの性器を吐き出しながら、藤本はシーツに崩れ落ちた。息も絶え絶えな藤本の首に手をかけて、「なんだよ、まだ大したことしてねェだろ?」と、いっそ無邪気にサタンが微笑めば、藤本の目にようやく絶望のような色が現れるので、サタンは少しばかり溜飲を下げる。

うつ伏せで倒れ込む藤本の身体を一瞥したサタンが、「次は…そうだなァ、ここを、」と、藤本の腰骨から首筋までを撫で上げて、「切り開いて、内臓に突っ込んでやろうか」と笑いながら言うと、藤本は僅かに身体を捻って「それは、死ぬ」と短く答えた。「死ぬのは嫌か?」と、傷跡の多い藤本の背中に手を這わせながらサタンが尋ねれば、しばらく黙りこんだ後で「お前に殺されるのは嫌だ」と、存外はっきりした声で藤本が返すので、サタンはますます深く笑いながら藤本の顎を掴んで咥内に指を差し入れると、今まさに噛み締められそうになっていた藤本の舌を無造作に握る。「今は殺さねえよ、今はな」と、サタンがあやすように言えば、藤本はサタンの指を噛みしめようとして、それが燐の身体であることを思い出して緩く口を閉じた。おとなしくなった藤本の口から指を引き抜いたサタンは、藤本の背中で指を拭うと、「じゃあまあ、今日は帰るな」と、いっそ親しげな口調で藤本に告げる。「もう二度と現れるんじゃねえよ、悪魔」と、藤本が憎々しげに返せば、「俺は悪魔だが、俺の息子もメフィストも、どうあがいたところで悪魔なんだぜェ?」と勝ち誇ったようにサタンは言った。身体を屈めて、強張った藤本の肩にガブリ、と噛みついたサタンは、「ほォら、これだけで、きっとお前には虚無界の毒が廻るだろう。いやァ、もう廻っているのか?」と予言のように吐き捨てる。「ッ、俺は、」と反論しかけた藤本の身体を押しやって、ほとんど乱れてもいない着衣を整えたサタンは、「まあせいぜいその時まで、コイツの父親面をし続けることだなァ。童貞はお前が食っちまったけど」と、とてつもなく楽しそうに良い残すと、振り返りもせずに藤本の部屋を出て行った。サタンが帰る場所は恐らく燐の部屋で、であれば雪男がいる、と考えた藤本は、浅い息のままどうにか身体を起こそうとしただが、うまくいかなかった。サタンの言葉通り、藤本はすでに悪魔に毒されている。15年前、焔に包まれた燐を殺せなかった時点で、藤本の末路は決まったようなものだった。いやむしろ、30年前にメフィストの手を退けなかった時点で、藤本の運命は刻まれ始めていたのだろう。どうにか縛られた両腕に顔を近づけて、奥歯に仕込んだ銀の刃でワイヤーを切り落とすと、壊れた十字架はまるで藤本を断罪するように血と精液の直中に落ちた。

主よ、と頭を垂れた藤本は、自身が元から神の不在を確信していることを知っていた。



(藤本51才/みかんを何かに使いたかったけれどどうにもならなかった/青の祓魔師/サタン×藤本/111002 )