[ 故 ・ 西 田 少 尉 か ら 新 城 直 衛 に つ い て ]


新城先輩について聞きたいの？いいけど、どうして僕？もうだいぶ前にいなくなったから僕が知っている先輩はもう今の先輩じゃないかもしれないんだけれど、え？それでもいい？うん、それならいいんだけど。優しい人だよ。自分にも他人にも等しく優しくて、だから全部に嫌われて当然だと思っているような人だった。よくわからない？うーん、そうだなあ…先輩は先輩と同じことを皆に要求するんだよ。それは先輩にとっても大変なことだから皆もやってくれれば先輩の気は紛れるの。皆も大変なんだけどおなじことを先輩もするから皆の気も紛れるの。で、大変なのは嫌だから先輩も皆も大変じゃなくなるように一生懸命になれるの。だから全員で優しくしあえるようになるの。なんていうかそれが先輩の赦す範囲で、それをちゃんと設定してるから先輩は優しいんだよ。…なんとなくわかった？よかった、僕は支離滅裂だと思ったから。あはは、ごめん。だって先輩のことなんて誰も分かるわけないよ。わからないようにしてる人なんだから。だけど知りたいと思ったからいろいろしては見たんだよ、でもだめだった。凄く親しくなったと思うよ、それはそうおもう。でもそれだけだった。それ以上何を望むのかって？もっといっぱいいろんなことをしてほしかったよ。弱音とか文句とか聞いたことなかったし。大事なことは全部分からないとかそれでいいとかそんなことではぐらかされて、…もしかしたらそれしかできなかったのかもしれないって今では思うんだけど。もう確かめられないしね。…会いたいかって？それはもうものすごく。できれば今もとんでいきたいくらいなんだけど、多分先輩は見えないんじゃないかなあ。見たくもないと思うし…え？先輩がこっちに来る？それは無理だと思うよ。少なくともあと１００年くらいは生きていそうな気がする。だって先輩だし。…そばにいたかったかって？聞くかなあそういうこと。…いいたくないなあー…えー…ええ、いたかったなんてものじゃなくていまでもいたいよ。できれば先輩なんて殺してしまえれば良いのにって、本気で考えるくらいはそう思ってるよ。

（西田→新城 / 20061226）　▲